動物編 §303 スズメ
(1)amamecikap アマメチカプ [<amam-e-cikap(粟・食う・鳥)] ⦅礼文華、近文⦆ スズメ
(2)amamecikappo アマメチカッポ [<amam-e-cikap-po(粟・食う・小鳥)] ⦅幌別、浦河⦆ スズメ
(3)amameciri アマメチリ [<amam-e-ciri(粟・食う・鳥] ⦅美幌、屈斜路⦆ スズメ
注1.――急言してamam-cirとも言ったかもしれない。⦅B⦆にamam-chiri、⦅藻汐草⦆⦅和愛辞典⦆にも「アマムチリ」とある。⦅和愛辞典⦆には群鳥(むらすずめ)「ポホアムチリ」とあるが、正しい形は、popo-amamciri(物にたかる・雀)である。同書には別に群鳥(むれとり)「ポポチカプ」(popo-cikap)が出ている。
注2.――松浦『納沙布日誌』に「アママチカプ」(amama-cikap)の形が出ている。
(4)amameciri-kamuy アマメチリカムイ [<粟食鳥・神] ⦅美幌⦆ スズメ
(5)amam-e-pon-cikap アマメポンチカプ [<amam-e-pon-cikap(粟・食う・小さい・鳥)] ⦅静内⦆ スズメ
(6)pon-cikap ポンチカプ [<小さい・鳥] ⦅多蘭泊⦆ スズメ
(7)hacipipi ハチピピ [<鳴声] ⦅富内⦆ スズメ
(8)ecikiki エチキキ [<鳴声] ⦅多来加⦆ スズメ
注.――前項のhacipipiのチピピ、本項のe-cikikiのチキキは共に雀の鳴き声で、それにハーとかエーとかの掛け声がついて出来た語であろう。北海道でも雀の鳴き声はチキキーで、それが、神謡の中で雀をあらわすsakehe(囃詞)となっている。
(9)say-kot-ciri サイコッチリ [<say-kor-cir(群・もつ・鳥)] ⦅礼文華⦆ スズメ(ニュウナイスズメ?)
注.――⦅藻汐草⦆⦅和愛辞典⦆雀の項に「アマムチリ」「シヤイコッチリ」とある。
(10)oman-ruy-ciri オマンルイチリ [<‘行くこと・甚だしい・鳥’、‘ずうっと山奥へ行く鳥’] ⦅藻汐草⦆ スズメ
(11)usap ウシャプ [<u-(皆・大勢)sap(出てくる)、群れをなして里へ出てくる鳥] ⦅千島⦆ スズメ(ニュウナイスズメ?)