動物編 §326 エゾヤマセミ
(1)aynu-satcir アイヌサッチリ [<aynu(人間)satcir(?)] ⦅静内⦆
(参考)石狩日誌にヤマセミの図を掲げ、「シリベツ石狩方言キサラウシチカプ其訳頭の毛が耳の如く見ゆるよりして号しものか、飛時は灰白に見ゆれども手に取って見れば羽毛は皆斑有也。クスリにては其名また異る。くわしくは久摺日誌に出すものなり」とあり、久摺日誌に「此辺(エムシヲマナイ、ホントウ、モウセウナイ)に出るや、左右に鹿多し、……石狩にて見たるキサラウシチカプと云て冑毛の有る白き鳥多く啼て居たり。土人に問ふに、当所にては、ウリルイと云とかや。……拾て見るに白きと思ひしが、左は無、羽毛皆斑文有」とある。キサルウシチカプはkisar-us-cikap(耳・生えている・鳥)
(2)aynu-sacir アイヌサチリ [<?] ⦅屈斜路⦆
(3)aynusacir-kamuy アイヌサチリカムイ ⦅美幌、屈斜路、足寄、高島⦆
(4)sacir-kamuy サチリカムイ [<?] ⦅足寄⦆
注.――この鳥の足の黒いのとか片羽黒いのとかどこか異様な所のあるのを見かけたら捕って守り神にする。inawに包んで家の中ではsiso-rotta(右座の上座)に飾っておき、狩漁に出るときはkarop(手回り品を入れる鞄)に入れて持って行く。