動物編 §357 カイツブリ
(1)peko-cikap ペコチカプ [<peko(日本語‘べこ’‘牛’)cikap(鳥);鳴き声が牛のそれに似ているので] ⦅屈斜路⦆
(2)noo ノオ [<鳴き声] ⦅相浜、白浦、新問、多来加⦆
(3)raripe-cikah ラリペチカハ [<rar-ipe-cikap(水にくぐり・食事する・鳥)] ⦅新問⦆ 【雅】
注1.――古謡の中で‘raripe cikah raripe-tori’などと対句に用いられる。俗に「ノーどり」と称する鳥で、その鳴き声は牛の鳴き声に似ているという(新問)
注2.――この鳥の皮で造った羽衣があり、それをノールシ(noo-rus)と言ったらしい。樺太の説話に或首領が、そのノールシを着た男と道連れになって、途中で小屋がけして野宿し、その男の鼻歌を聞いているうちに、つい眠ってしまい、身ぐるみをそっくり、盗まれてしまう話がある。そのときその男の歌った歌というのが、
ンノー フンキ ポホ
ンノー フンキ ポホ
ンノー フンキ ポホ
というのであった。(『りくんべつの翁』p.168[nnoは「ノーどり]hunkiは「子守歌」、-poは指小辞。つまり「ノー鳥の子守歌だよ」という文句の繰り返しにすぎない。」
注3.――多蘭泊では樟の木で鳥の形を彫み、cip-ohonto(舟のみよし)に着けるが、それをraripe-toriとよぶ。