動物編 §376 (その他の鳥名)
apkas-kamuy アプカシカムイ [<‘歩く・神’‘旅行する・神’] ⦅穂別、沙流⦆ 流行病の神。アイヌは流行病は渡り鳥が持ってくると考える。とくに天然痘の場合は、足の長い黒い鳥で、sirappa(羽ばたき)すると、青や赤の光がさしてくる。現実には、群れをなして飛んでくるが、説話の中では舟を連ねて来るように述べられる。petaru(水汲道)でposta(小犬)が泣いたらapkas-kamuyが来る。そのときは、サケの骨やウバガイの乾肉を出し、これをやるから、北見国の方へ行ってくれと唱える。その唱えごと:
“arpa-kamuy, tan a-kor-mosir mosin-noski aep ka isam. oripak-kamuy, itek sini-no a-kor-mosir-pa o-arpa kuni sisam ko-porono an orota erawketupa e-ki kusu ne na. cekunip i-resu-kamuy kor haru a-e-haru-kore. itek nei-ta e-oyantone-no e-arpa na.
(旅行している神々よ、このわたくしどもの国、国の中央には、食物もろくにありませぬ。畏れ多い神々よ、ここへは休まれずに、わが国のかみ手に行かれて、和人どものたくさんいる所で稼いでください。食べるため米なども与えられるでしょう。どうぞ、どこへも泊まらずに行ってください)(穂別)