植物編 §097 オオバスノキ Vaccinium Smallii A.Gray
(1)ayekarip アイェカリプ 果実 ⦅穂別⦆
(2)ayekarip-ni アイェカリプニ 茎 ⦅穂別⦆
注.――植物名詳表にスノキ(Vaccinium hirtum Thunb.)を表すアイヌ語としてAikarip(十勝川筋)及びAekarip-ni(沙流川筋)の二語を掲げている。前者はこの植物の果実をさし、後者はその果実の生ずる木の意味で茎だけをさす名称であることは明らかである。辞書にもAekarip、Aikaripと見え、なお樺太ではSatturiというとある。「サッツリ」とは諸家の報告にも見える語であるが、そういう語は実在しないようである。おそらく「さハトゥレヘ」Sahtureh[sak(夏の)turep(果実)]の聞き誤りであろう。千徳太郎治の「樺太アイヌ叢話」(p.23)に「サハトレヘ」(山葡萄に似たもの)とある。この果実は食用に供した(白浦)。