植物編 §107 コジャク Anthriscus nemorosa Spreng.
(1)i-cari-kina イチャリキナ [あれを・散らす・草] 茎葉 ⦅北海道全地⦆
注1.――この植物の比較的若い葉を多量に採集して陰干しにして保存しておき、月経(menoko-siyeye女の・病気)の時とかその他の時に散らし紙と同じ用途に用いた(美幌)。名称の語源はそこから来ているらしい。
(2)icaripo イチャリポ [<i-cari-p(あれを・ちらす・もの)-po(指小辞)] 茎葉 ⦅天塩⦆
(3)icarapo イチャラポ [<icaripo] 茎葉 ⦅樺太⦆
注2.――北海道南部方言と樺太方言の間にはi>aの類例が多い。
matampusi>atampusa 綿帽子
mukkuri>muhkuna 口琵琶
sinki>sinka 疲れる
tomari>tomara 停泊地(鵜城)
icaripo>icarapo コジャク
(参考)花の咲かないうちに真ん中の茎(45cm位)を取って皮をむいて生で食べ、また焼いて油をつけて食べた(白浦)。茎を漬物にした(幌別)。