植物編 §130 エゾミソハギ Lythrum Salicaria L.
(1)ento エント 茎葉 ⦅北海道各地⦆
注1.――「エント」はもと子実をさして言ったものらしい。下記(2)(3)の名称からそれが察しられる。
(2)ento-num エントヌム [エント・粒] 子実の粒 ⦅北海道各地⦆
注2.――微小なもののたとえに引かれる。古謡の中にも出て来る;
oar sikihi 片方の眼は
ento-num ne ミソハギの種子のように小さくて
cirawekatta ぐっと落ちくぼみ
oar sikihi 片方の眼は
sikari-cup ne 満月のように大きくて
cisoyekatta むき出しになっている
ar-kamiasi 恐ろしいばけもの
(金田一京助、アイヌ聖典、p.141)
(3)ento-mun エントムン [エントという子実のなる草] 茎葉 ⦅足寄⦆
(参考)茎葉を打ち身の薬に使った。すなわち、それを石で温めて患部を包み布で巻いた(足寄)。