植物編 §131 アキグミ Elaeagnus umbellata Thunb.
(1)susmaw スシマウ 果実 ⦅幌別⦆
注1.――mawは、今はもっぱらハマナスの果実をさすことになっているが、古くはハマナスばかりでなく、アキグミもイチゴもエンレイソウの果実もそれからホウズキも昔mawだったらしいことは、それらの植物の名義からも察しられる。
注2.――英雄詞曲の中で、はげ頭の英雄をさして「フレマウポ」hure-maw-po“赤い・マウ・さん”と呼んでいる例がある(虎杖丸の曲、p.446)。
(2)susmaw-ni スシマウニ [上記果実の生じる木の義] ⦅幌別⦆
(参考)果実は生食した。また、果実の色にちなんで、黄疸や血便の出る病気(大腸カタル・赤痢等)に、枝を煎じて服用した。単独でも用いるが、重症の際は、次の三種を合わせて用いる。
susmaw-ni アキグミの枝
emawrini キイチゴの枝
ponrayta-mun ダイコンソウの茎葉
以上三種を等量に混ぜて片手いっぱいに握り、両端を切りすて、手中に残った9cm内外のものを、約1升の水が半量になるまで、煎じつめてその濃い煎汁を暇なしに飲ませるのである(幌別)。