アイヌと自然デジタル図鑑

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アイヌ語辞典

植物編 §138 ミヤママタタビ Actinidia Kolomikta Maxim.

 果実についてまず名がついた。アイヌは、この果実を生食したからである。ただ、その果実は、サルナシに比べてやや不味なので、「鳥のサルナシ」と名づけた。

(1)cikap-kutci チカプクッチ [鳥の・サルナシ] 果実 ⦅名寄

(2)ciru-kutci チルクッチ [原形はおそらくciri-kutci「鳥のサルナシ」、蔓に生じるからそれに連想してciru-kutciとなまったのであろう] 果実 ⦅美幌名寄

(3)siru-kutci シルクッチ [上記のciru-kutciから、さらにそれが漿果なので汁に連想してsiru-kutciとなったものか] 果実 ⦅D屈斜路
 注1.――あるいは日本語の「しらくち」と関係あるか。

(4)uciri-kutci ウチリクッチ [もとciri-kutciで“鳥の・サルナシ”の義] 果実 ⦅網走

(5)cirikeh チリケヘ [ciri(鳥)keh(<kah果実)] 果実 ⦅白浦
 注2.――[či-ʼri-keç]とも[či-ʼri-keš]とも発音される。

(6)cirikeh-ni チリケヘニ [同上果実のなる木] 茎 ⦅白浦

(7)cirikih チリキヒ [<cirikeh] 果実 ⦅真岡
 注3.――[či-ʼri-kiç]とも[či-ʼri-kis]とも発音される。

(8)cirikih-ni チリキヒニ [上記果実のなる木] 茎 ⦅真岡
(参考)茎をいうには、北海道ではpunkar、樺太ではniをつける。

(9)cirukutci-punkar チルクッチプンカル [鳥のサルナシのなる蔓] 茎 ⦅美幌足寄

(10)cirikis-ni チリキシニ [チリキシの実のなる木] 茎 ⦅真岡
(参考)樺太では、果実を生食した他に、茎を産前・産後・脚気など、体のむくみに煎じて飲んだ。

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