植物編 §171 ニガキ Picrasma quassioides Benn.
(1)siw-ni シウニ [siw(にがい)ni(木)] 茎 ⦅長万部、幌別、穂別⦆⦅A沙流・十勝・千歳・有珠⦆
(2)yukrayke-ni ユクライケニ [yuk(鹿)rayke(殺す)ni(木)] 茎 ⦅荻伏、様似、足寄、屈斜路、美幌、名寄⦆⦅A天塩・石狩⦆
(参考)この木の皮を煎じ、その汁で衣類を洗うと虱(シラミ)がつかぬ(幌別)。その煎汁は胃病の薬にもなった(美幌)。「鹿を殺す木」という名義の由来については、この皮を鹿が食って死んだから、あるいは鹿を死なせるほど苦いから、あるいはこの木はたいてい叢林をなして生えているので冬の山野で鹿がそこへ追い込まれると身動きができなくなって猟師に殺されるから、など諸説紛々としている。しかし、天塩の名寄では、この根の皮をはいで、うるしを取る時のようにしてその樹液を容器に溜め、それを鹿狩りに用いたという。