アイヌと自然デジタル図鑑

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アイヌ語辞典

植物編 §179 ヤブマメ ギンマメ Falcata japonica Komar.

(1)aha アハ 地下に結実した果実をいう ⦅幌別穂別千歳
 注.――石狩国空知郡でもアハと言ったらしく、そこにアハタウシナイ(aha-ta-us-naiいつもヤブマメを掘る沢)という地名があり、永田方正氏はそれに対して次のように注している。『此川ノ傍ニ「アハ」草アリ「アハ」方言「キツネノマメ」ト云フ 根ニ豆アリ 土人掘リテ食料トス』(地名解、68頁)

(2)eha エハ 地下に結実した果実をいう ⦅長万部礼文華虻田荻伏本別近文

(3)numinokan ヌミノカン [numi(その粒)nokan(小さい)] 地下に結実した果実をいう ⦅美幌屈斜路名寄
(参考)早春、雪が消えたばかりで食料の乏しい頃に、この果実を多量に採集し、煮て油をつけて食い、あるいは米や粟に混ぜて飯に炊いて食った(幌別)。これを掘るには、特別の土掘り棒を用意した。長万部では、それを「エハタプ」ehatap[eha(ヤブマメ)ta(掘る)p(もの)]と言い、木の枝を利用して作った。美幌や屈斜路では、「シッタプ」sittap[sir(大地)ta(掘る)p(もの)]と言い、木の枝や鹿の角で作った。長万部では、ヤブマメを掘る時、次のように唄いながら一生懸命に掘った。
 ehaa ehaa ヤブマメ ヤブマメ
 poroo ehaa 大きな ヤブマメ
 onne ehaa でっかいヤブマメ
 en-ko-turse-turse 俺に飛んで来い来い
このように唄いながら夢中になって掘っているうちに、いつしか手に下げていた小さな「サラニプ」saranip(手さげ)がいっぱいになる。するとそれを大きい「サラニプ」にあけて、また掘り出すのである。平取では、イタドリの枯れ茎を一節切り取って、ヤブマメを採集する時それを手に持ち、それにいっぱいになったら「サラニプ」にあける。それを「アハクッタル」aha-kuttar(-i)[aha(ヤブマメ)-kuttar(イタドリの茎)]と称した。

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