アイヌと自然デジタル図鑑

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アイヌ語辞典

植物編 §205 エゾヤマザクラ オオヤマザクラ Prunus donarium Sieb. var. sachalinensis Makino

(1)karimpa カリンパ 桜皮 ⦅胆振、日高沙流
 注1.――語源は、あとで説く。

(2)karimpa-ni カリンパニ [桜皮の・木] 茎 ⦅長万部虻田室蘭幌別白老穂別平取千歳名寄

(3)karimpani-epuyke カリンパニ・エプイケ [桜皮のとれる木の果実] 果実 ⦅幌別

(4)karumpa カルンパ [<karimpa] 桜皮 ⦅足寄

(5)karumpa-ni カルンパニ [桜皮の・木] 茎 ⦅美幌屈斜路足寄阿寒

(6)karumpa-o-ni カルンパオニ [karumpa(桜皮)o(ついている)ni(木)] 茎 ⦅足寄

(7)karumpa-un-ni カルンパ・ウン・ニ [karumpa(桜皮)un(ついている)ni(木)] 茎 ⦅足寄

(8)karumpani-apappo カルンパニ・アパッポ [桜木の・花] 花 ⦅美幌
(参考)「カルシ・エ・アルカ」(karus-e-arka「キノコの中毒」)には、この樹皮を煎じて飲んだ。また、この樹皮は、それで刀の鞘や矢筒や弓の柄を巻いたり、舟や曲げ物を綴じたりした。桜の皮を巻いた弓を「カリンパ・ウン・ク」karimpa-un-ku、すなわち「カリンパの・ついている・弓」などという所を見ても分かる通り、もと「カリンパ」は桜の皮を言ったものである。その原義は、kari「まわる」、kari-no「よくまわる」、複数の-paがついてkarino-pa、karin-pa、karim-pa「ぐるぐると十分にまわる」となったものである。日本語の「かにわ」(桜皮)「かば」(樺)などもそれから来たものと思われる。
 この木で木幣の脚を作った。それで、この木を焚き木にすれば腰が曲がるという俗信があってそれを避けた(幌別)。

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