植物編 §209 オオタカネバラ Rosa acicularis Lindl.
(1)cikappo-maw チカッポ・マウ [cikap(鳥)po(指小辞)、cikappo(小鳥)maw(ハマナスの果実)] 果実 ⦅A有珠⦆
(2)cikappomaw-ni チカッポマウ・ニ [上記果実の生ずる木の義] 茎 ⦅B⦆
(3)poncikap-maw ポンチカプ・マウ [pon(小さい)cikap(鳥)maw(ハマナス)] 果実 ⦅A根室⦆
注1.――pon-cikapはcikap-poというのに同じ。従ってponcikap-mawはcikappo-mawに同じである。植物名詳表にはPonchika-mauとあり、バチラー翁がその誤りをそのまま受け継いで辞書には『ポンチカマウ』Ponchikamauとしている。
注2.――木の方は当然poncikapmaw-niと言ったはずである。
(4)kimun-mawni キムン・マウニ [kim(山)un(にある)、kimun(山の)、maw(ハマナス)、mawni(ハマナスの木)] 茎 ⦅白浦、真岡⦆
注3.――ハマナスの果実を、北海道ではmawというが、樺太ではotaroh、otaruhという。それでいてハマナスの木の方は、樺太でもmaw-ni(マウのなる木)というのである。オオタカネバラも、実の方はkimun-otaruhと言いながら、木の方はkimun-mawni(山の・ハマナスの木)というのである。
(5)kimun-otaruh キムノタルフ [山の・ハマナス] 果実 ⦅真岡⦆
(6)kumerin クメリン [<ギリヤク語] 果実 ⦅白浦⦆