植物編 §235 センダイカブラ Brassica napobrassica Mill.
(1)atane アタネ 根 ⦅幌別⦆
(2)atane-rekuci アタネ・レクチ [アタネ・の首] 茎の基部 ⦅幌別⦆
(3)atane-raha アタネ・ラハ [アタネ・の葉] 葉 ⦅幌別⦆
(参考)アイヌの栽培する植物の名は、たいてい日本語からの借用語である。従って「アタネ」も日本語ナタネから来たものと思う。だから、従来の文献はすべてそれをナタネナとしている。しかし、物が違うのであって、アイヌのいう「アタネ」はカブ(カブラ、カブナ)の類、特にセンダイカブラをさす。最近では瑞典蕪菁(スウェーデンカブ=ルタバカ)をもそう呼んでいる。
この根と茎の基部とは、半日くらい火にかけて煮てから冷却すると、非常な甘みを生じる。ただし、一種独特の味とにおいを有するので、アイヌはそれに除魔力を認め、疫病流行の際など特に好んで食べた。葉も貯えておき、冬季の汁の実にした。また、それをあぶって、膿の吸い出しにも用いた(幌別)。