アイヌと自然デジタル図鑑

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アイヌ語辞典

植物編 §241 クサノオウ Chelidonium majus L.

(1)otompuy-kina オトンプイ・キナ [肛門・草] 茎葉 ⦅長万部幌別穂別様似芽室⦆⦅A沙流鵡川千歳石狩有珠
 注1.――黄色の液汁を出すので“肛門草”と初めは言ったのであろう。ところが肛門草というところから今度は逆に肛門の病気の薬に用いるようになったらしい。今では肛門の病気に用いるから肛門草というのだと思っている古老が多い。

(2)seta-otompuy セタオトンプイ [犬(の)・肛門] 茎葉 ⦅幌別
 注2.――この茎を犬の肛門にさしておくと犬が下痢するからそういう名がついていると。

(3)otoypun-kina オトイプンキナ [otoypunはotompuyの音韻転位(metathesis)] 茎葉 ⦅美幌屈斜路
 注3.――otompuy-kinaがotoypunkinaに変わったのは、o-…-un-kina(どこそこに生えている草)という植物名が多いので、それへの類推によるのであろう。
(参考)便秘[「オシウン」o(尻)-si(糞)-un(入っている)]の際、この茎葉を煎じて飲み、あるいはその茎を肛門にさしこんでおいた(幌別、芽室)。痔の悪い時も同様にした(美幌、屈斜路)。痔や婦人病に、茎葉を煎じてその汁で洗ったり、その葉で温罨法したりすると同時にその煎汁を服用した(幌別)。

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