アイヌと自然デジタル図鑑

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アイヌ語辞典

植物編 §260 ヤマシャクヤク ベニバナヤマシャクヤク Paeonia japonica Miyabe et Takeda / Paeonia obovata Maxim.

(1)horap ホラプ 根 ⦅長万部幌別⦆⦅A十勝沙流千歳石狩有珠

(2)orap オラプ 根 ⦅芽室名寄⦆⦅A十勝

(3)korkomap コルコマプ [kor(葉)ka(の上)oma(にある)p(もの)] こっとつ(袋果) ⦅荻伏

(4)otakuru オタクル 根 ⦅白浦

(5)homesu ホメス 根 ⦅真岡
(参考)風邪の際の熱さましに、あるいは腹痛に、この根を単独で、あるいはフキの葉・イブキボウフウの根・クズの根などと混ぜて煎じて飲んだ(幌別)。腹痛にはまた生の根を噛んで水で飲んだ(B)。根を噛んで関節の痛みにつけた(B)。この根を乾かしておき、それを粉末にして湯でこねて布に塗り、打身の患部に貼った(白浦)。種子を噛み砕いて布でこし、その汁を目薬にした(B鵡川)。耳痛には根を焼いて温い水気のあるものを布に包んで湿布した(幌別)。あるいは種子を粉末にしたものを煙草に混ぜてその煙を耳の穴に吹き込んだ(B有珠)。火傷創傷に、乾燥したヤマシャクヤクの根を粉末にして患部にふりかけ、その上に犬の脂肪を塗り、更に上に白樺の薄皮で包んで包帯した。痔疾にもこの根を煎じて洗った(樺太)。また、この根は食用にもなった。すなわち、それを乾かし貯えておき、食べる時は、それを柔らかくなるまで煮て、煮えたらそれを下ろして、小刀で刻み、木鉢に入れ、更にそれにマスの筋子を入れて搗き、油を入れてかき回して食べた(白浦)。
 幌別には“horap-toy pa-kur anakne nispa ne”「ヤマシャクヤクの群生地を発見した人は長者になる」という諺(upaskuma)があって、これがたくさん生えている所(horaptoy)を発見すれば長者になると信じられ、またベニバナヤマシャクヤクより白花のヤマシャクヤクの方が珍重され、戸外の幣場の辺に植栽する人も多かった(幌別)。

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