アイヌと自然デジタル図鑑

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アイヌ語辞典

植物編 §265 カツラ Cercidiphyllum japonicum Sieb. et Zucc.

(1)ranko ランコ 茎 ⦅北海道全地⦆
 注1.――語源不明。カツラをいう「ランコ」、クルミをいう「ネシコ」、イチイをいう「オンコ」等、語尾にコのつく植物名は不思議に原義が分からない。

(2)“ranko-ni” 『ランコニ』 ⦅B、D⦆
 注2.――古老はどこでもランコとだけ言って、ランコニとは言わぬ。従って、ランコニは正しい言い方ではない。

(3)『ヤーラ』 ⦅蝦夷草木志料――平取
 注3.――正しくはyar、これは本来「裂けたもの」の義で、桂に限らず何の木でも「はぎ取った樹皮」をいう。
(参考)この材で種々の小器具、例えば盆・まな板・杓子・小刀の柄・箕・杼・臼・杵等を作った(幌別)。この材はまた、それで丸木舟を作った(幌別・屈斜路・天塩)。樹皮で屋根をふく(蝦夷草木志料)。織物を黒色に染める時、この内皮の煎汁につけ、後に鉄分の多い水にひたした(千歳――河野広道、アイヌの織物染色法)。また、この皮を燃やして灰を作り、その灰を集めて鍋に入れて水を加えて煮て、それからそれを冷やしてその上澄みを適当に薄めたものを洗髪に用いた(児玉・伊藤、アイヌの髪容の研究)。酒を作るのに、桂の皮を煮てその煮汁で飯を炊いて、それに少量の麹を入れてからそのまま寝かせておいた(天塩)。この木の芽が飛んで川に入るとカジカになる。だからカジカは、どんな尻無川にでもいるものだという(D屈斜路)。

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