植物編 §274 エゾノハマアカザ Atriplex patula L.
(1)
概報(G、p.33)に、Chikap-riyakina『チカップリヤキナ』、とあり、植物誌(E、p.378)に、『チカップリヤキナ』(樺太アイヌ名)とある。樺太アイヌ語だとすると、cikah-riyakina、と普通には発音されたであろう。cikah(<cikap)は“鳥”、riya-kinaは“越年する・草”“冬でも葉の枯れぬ草”。kinaとあるからには“茎葉”をさすのであろう。辞書には、Chikap-riya-kina(S)、とある。
(2)
植物誌(E、p.378)に、『ポンチカノヤ』とあり、辞書にもそれを取って、Ponchika-noya(S)とある。正しくは、poncikah-noyaで、pon-cikah“小・鳥”、noya“もみ草、ヨモギの葉”、すなわち“小鳥ヨモギ”の義である。noyaとあるからには葉を言ったのであろう。
(参考)“嫰苗又ハ葉ヲ煤熟シ水ヲ換ヘ洗浄シ調食スベシ”(G、p.33;E、p.378)。