植物編 §278 オカヒジキ Salsola Komarovii Ilijin
(1)
概報(G、p.33)に、Oienki-kina『ヲイエンキキナ』とある。明らかに「アイ・エンケ・キナ」ay-enke-kina“とげ・するどい・草”の誤写である。それが、植物誌(E、p.380)にもそのまま再録され、辞書もその誤りをそのまま踏襲している。
(2)
植物誌(E、p.380)には、ほかに、『ヲタクナエエンキキナ』(樺太アイヌ名)と出ている。これは明らかに「オタクナイェンケキナ」otakun-ayenkekinaで、otakun<ota(砂浜)-ka(の上)-un(にある)、ayenkekina<ay(とげ)enke(とがっている)kina(草)、の義である。
(3)
植物誌(E、p.380)には、なお、『エムン』(北見アイヌ名)ともある。e-mun“食う・草”の義か。
(参考)“葉ノ尖端ニ在ル棘ヲ採リ煮テ食スヘシ”(G、p.33;E、p.380)。