植物編 §290 ウスバサイシン Asarum Sieboldi Miq.
(1)kisarpeot キサルペオッ [→注1] 根茎をいうか ⦅E⦆⦅F⦆
注1.――「キさルペオッ」は、kisar(耳)-pe(汁)-ot(出る)で、“耳だれ”のことである。この植物の葉の形が動物の耳に似ているので耳だれの治療に用いられ、それが名になったのであろうか。
(2)anrakor アンラコル [→注2] 地上部 ⦅幌別⦆
注2.――an(黒い)-ra(羽、葉、花)-kor(持つ)。この語は、大抵の地方でクロユリの鱗茎をさす。幌別でもクロユリをそういう人もある。ウスバサイシンはクロユリと同じく黒紫色の花をつけるのでこの名があるのである。ただし、もとはkisanrakor[kisar(耳)ra(<rapたぶ)kor(持つ)]だったのが、民衆語源解によってan-ra-korになったのかもしれない。