アイヌと自然デジタル図鑑

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アイヌ語辞典

植物編 §292 ムカゴイラクサ Laportea bulbifera Wedd.

(1)pon-ipisisip ポン・イピシシプ [小さい・エゾイラクサ] 青い茎葉 ⦅幌別
 注1.――「イピシシプ」(エゾイラクサの茎葉)に似て、茎が細く、丈も低いので、こういうのである。

(2)kapay カパイ [kap-hay 皮部・繊維] 皮部から精製した繊維 ⦅北海道各地⦆
 注2.――あるいはhay(エゾイラクサの繊維、イラクサ)に対して、それよりも価値が劣るのでcikap-hay[鳥のイラクサ]と言ったものが、更に上略されてkapayになったのかもしれない。

(3)sita-kapay シタカパイ [犬の・……] ※ ⦅美幌
 ※ムカゴイラクサから精製した繊維には普通のものとちょっと黒みがかったものとがあり、その後者をいう。
(参考)秋この茎を採集して乾燥し、それを小束にして槌で打つと表皮も内部の髄も粉になり、内皮の繊維だけが残る。エゾイラクサの場合には、茎を裂いて内部の肉を掻き落とし、更にそれを揉んで表皮を去るという複雑な工程を必要とするのに対して、ムカゴイラクサの場合は、皮部がそのまま繊維であるというので、この繊維を「カプハイ」(kapay<kap-hay〔皮部・繊維〕)というのである。この繊維でアイヌは厚司を織ったが、それを「カパイ・アットゥシ」(kapay-attus)と言った(幌別)。

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