植物編 §295 カラハナソウ Humulus Lupulus L. var. cordifolius Maxim
(1)kosa コサ 根 ⦅長万部、幌別⦆⦅A沙流・鵡川・千歳・石狩⦆
注1.――後志国瀬棚郡利別川筋に、オサウシという地名があり、そのオサを永田方正氏は「葎(ホップ)」の義だとしている。すなわち
パンケ オサ ウシ 「下ノ葎アル所」
ペンケ オサ ウシ 「上ノ葎アル所」
として、さらに注を付し、新冠アイヌモ葎ヲ「オサ」ト云フ 普通語ハ「コサ」ナリ、と記している(C、p.132)kosaがhosaとなりosaとなったのであろうか。
(2)ohurkotuype オフルコトゥイペ [o(尻)hur(土手)ko(に)tuy(ぶら下がっている)pe(もの)] 根 ⦅名寄⦆
注2.――川岸の土手のくずれた所などによくぶら下がっているからそういう。
(3)ohurkotuype-mun オフルコトゥイペムン [オフルコトゥイペのついている草の義] 茎葉 ⦅A十勝⦆
(4)pawci-punkar パウチプンカル [pawci(淫魔)punkar(蔓)] 茎葉 ⦅本別⦆
(参考)根を焼いたり煮たりして食べ、果実は粟飯にかけて発酵させ麹に用いた(幌別)。茎を乾してもみ表皮を落としてそれから糸をとった(足寄)。