植物編 §322 ナガバヤナギ Salix sachalinensis Fr.Schm.
(1)susu スス [→注1] 茎 ⦅北海道、樺太、全地⦆
注1.――語源はよく分からぬsiw-siw(にがい・にがい)か。
(2)yayay-susu ヤヤイ・スス [yayay(普通の)susu(ヤナギ)] 茎 ⦅A鵡川⦆
(3)inawni-susu イナウニ・スス [inaw-ni(幣・木)susu(ヤナギ)、“幣木にするヤナギ”] 茎 ⦅A十勝・上川⦆
注2.――もとinaw(幣)-ne(になる)-susu(ヤナギ)。普通inaw(幣)はこの木で作った。
(4)siw-susu シウ・スス [にがい・ヤナギ] 茎 ⦅名寄⦆⦅A十勝⦆
(5)susu-nomponompo スス・ノンポノンポ [susu(ヤナギ)、nompo<num-po、num(粒)、po(指小辞)、“ヤナギの・小さい粒・粒”の義] 花穂 ⦅白浦⦆
(6)susu-po スス・ポ [ヤナギの子] 花穂 ⦅長万部⦆
(7)susu-coco スス・チョチョ [susu(ヤナギ)coco(犬ころ)] 花穂 ⦅幌別⦆
(8)ni-seta ニ・セタ [木・犬] 花穂 ⦅名寄⦆
(参考)この木は、その名の示すごとく、それで幣を作った。樺太の子供らはこの若い花穂をいくつもつないで犬ぞりだと言って家の中を引いて歩いた(白浦)。天塩でも、子供はこの花穂を取って来て犬だと言って遊んだ。時にはその一つ一つに縄を巻いて樺皮を燃やしていぶし、縄を解いて、ぶち犬だと言って遊んだ(名寄)。