アイヌと自然デジタル図鑑

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アイヌ語辞典

植物編 §337 キジカクシ Asparagus schoberioides Kunth

(1)cikap-muk チカプムク [鳥の・muk(→§34.注1)] 地下茎 ⦅幌別芽室名寄

(2)cir-muk チルムク [鳥の・muk] 地下茎 ⦅幌別

(3)ikkew-kar-mun イッケウカルムン [腰を・治す・草] 茎葉 ⦅屈斜路

(4)menas-kina メナシキナ [東風・草] 茎葉 ⦅沙流

(5)nup-sunku ヌプスンク [野・エゾ松] 茎葉 ⦅A上川

(6)raykamuy-kina ライカムイキナ [死神(幽霊)・草] 茎葉 ⦅穂別⦆⦅A千歳鵡川沙流

(7)topiski-mun トピシキムン [オコリ(病)・草] 茎葉 ⦅足寄⦆⦅A十勝上川
(参考)アイヌは流行する病気、あるいは伝染する病気を渡り鳥が持って来ると考えていた。すなわち渡り鳥の中に伝染病の神の権化の姿をみているのである。(1)及び(2)の名義はその病魔を駆逐する地下茎をいうのであって、この植物の地下茎がそういう目的に用いられたことを示すのである。白癬のことを「チカポテルケ」cikap-oterke[鳥が踏んづけた]というが、その手当にはこの地下茎から汁を取って塗布した(幌別)。腰痛にこの茎葉で湿布したことも(3)の名称が示す通りである(D、p.72)。
 産婦に乳が出ない時この根を食わせた(名寄)。
 この茎葉を乾かして編んで「パウンペ」(paumpe礼帽)を作ってかぶる人もあった(足寄)。

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