アイヌと自然デジタル図鑑

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アイヌ語辞典

植物編 §347 クルマユリ Lilium medeoloides A.Gray

(1)imakiane イマキアネ [imaki(その歯)ane(細い)] 鱗茎
 注1.――次のような対照を考えて名づけている。
 nimaki-para [その歯が・広い](エゾスカシ)
 nimaki-ane [その歯が・細い](クルマユリ)
 すなわち、鱗茎の「鱗片」(それをアイヌは「歯」というのである)を比べてみると、エゾスカシユリのは幅が広いのに対し、クルマユリのは幅が狭いのが目立つ。これらの植物については、アイヌはもっぱらこの鱗茎を掘って食用としていたので、そういう細かな特徴にまで注意して名づけているのである。

(2)ninookay ニノオカイ [→注2] 鱗茎 ⦅幌別
 注2.――鱗茎の鱗片を「歯」という。歯をni、nimakという。前者は専ら合成語の要素として存在する。それで「ニノオカイ」は、ni(歯が)-no(十分に)-okay(群在する)の義である。鱗茎が多数の鱗片に包まれている状態を言ったものである。ただし、最初はni(歯を)-nu(持つ)-okkay(男)、だったかもしれない。ついでに、ウニ(海栗)などもあのとげを歯と見てnino[<ni(歯を)no<nu 持つ)]と言い表している。

(3)niyokay ニヨカイ [<ni(歯)-okay(群在する)] 鱗茎 ⦅長万部⦆⦅A沙流鵡川千歳

(4)parara パララ 鱗茎 ⦅美幌屈斜路

(5)numahapuru ヌマハプル [numa(毛)hapuru(<hapur やわらかい)] 鱗茎 ⦅落帆

(6)sumari-enonkay スマリ・エノンカイ [sumari(キツネ)enonkay(エゾスカシユリの鱗茎)] 鱗茎 ⦅白浦

(7)sumari-hah スマリ・ハハ [sumari(キツネ)hah<hap クロユリの鱗茎)] 鱗茎 ⦅真岡
(参考)秋、この鱗茎を掘って、芯は苦くて食えないので取り除き、鱗片をほぐして洗って米に混ぜて炊く。飯が出来上がったら、杓子で鍋の片隅から段々に飯を潰して行き、出来たら近隣に配って、それから食べる。これを「ニノオカイ・メシ」ninookay-mesi(クルマユリ・飯)と称した(幌別)。

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