植物編 §350 オオアマドコロ Polygonatum Maximowiczii Fr. Schm.
(1)etororatkip エトロラッキプ [etor(鈴)o(そこに)ratki(ぶら下がっている)p(もの)] 茎葉 ⦅幌別、足寄⦆
注1.――鈴形の花をつけているものの義。
(2)etoruratkip エトルラッキプ [前項の転訛] 茎葉 ⦅塘路⦆
(3)torarakeh トララケヘ [<etororatkip] 茎葉 ⦅白浦、真岡⦆
注2.――etororatkip>etorarahkeh>torarakehとなったのであろう。torarakehになまったについてはtorara(皮ひも)への連想も働いたに違いない。
注3.――他に次のような語形が挙げられている。
toraratkip⦅G⦆
『トラットキップ』⦅F⦆
(参考)根を熱灰の中に埋けて焼いて食い、また生乾きに干して煮て食った(幌別、足寄)。また痔の傷口が痛む時、これを尻の穴にさしておいた。果実も取って食べた。特に、胃腸の弱い者は、薬になると言って、歩きながらその果実を取って食べた(足寄)。熊祭りの式場にやせたクマを出すのは何よりの恥である。そこ熊祭りが近づくと、この根をせっせと掘って飼い熊に食わせる。人間もそれを食べた。特に、やせた子には大いに食わせた(真岡、白浦)。