アイヌと自然デジタル図鑑

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アイヌ語辞典

植物編 §363 エゾテンナンショウ Arisaema peninsulae Nakai

(1)rawraw ラウラウ 球茎 ⦅北海道全地⦆
 注.――rawrawはramram(うろこ)から来たか。とすれば、偽茎面の斑紋に基づいた名称である。方言でもヘビノタイマツと言っているのが思い合わされる。

(2)rawraw-pi ラウラウ・ピ 種子 ⦅北海道全地⦆
(参考)晩秋、球茎を掘って炉の熱灰の中に埋けて焼いて食べた。ただし、球茎の中央黄色い部分は有毒なので、食べる際は必ずえぐり取って捨てた。この黄色部は血くだしに卓効があるので、腹に虫がわいた時、舌に触れぬように気をつけながら丸呑みした。中毒した時はヤマブドウの汁を飲めばよいというが、それは次のような伝承に基づくのである。
 大昔、ヤマブドウとエゾテンナンショウとが決闘してヤマブドウが勝った。そこで、ヤマブドウは大いばりで、木の上に登り、エゾテンナンショウは面目がないので、地中にもぐってしまった。今でも、十分に成長した球茎には、その時ヤマブドウに切られた跡があるそうである。山からブドウやエゾテンナンショウを取って来る時、それらを同じ袋に入れて持って来てはならぬとも言われている。頭痛の時、この根茎を刻んだのを布に包んで鉢巻きにした(幌別)。
 種子は干して2年でも3年でも貯えておき、腹痛の時、2粒ずつ飲んだ(美幌)。子宮病あるいは神経痛に、根茎の中央にある有毒部をとって、ごく少量おろして布から紙にのばして足の裏に貼った(幌別)。

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