アイヌと自然デジタル図鑑

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アイヌ語辞典

植物編 §366 ミズバショウ Lysichiton camtschatense Schott var. japonicum Makino

(1)para-kina パラキナ [para(幅広い)kina(草)] 葉 ⦅長万部虻田有珠幌別穂別名寄真岡白浦
 注1.――「幅広い草」とは葉の形状に基づいた名であるが、この葉をもって物を包むに用いたので一層その感じを深くしたことであろう。

(2)iso-kina イソキナ [iso(熊)kina(草)] ⦅荻伏様似屈斜路美幌
 注2.――熊が好んでこの根を掘って食う。それで「熊・草」というのである。isoは普通に狩漁の獲物をさす語であるが、樺太では特定の獲物である熊だけをさす。北海道でもそういう場合があったらしいことは、iso-kinaの名称がそれを示している。
 注3.――辞書には他にHokuyuk-para-kinaを挙げている。hokuyukは「雄熊」の義で、前記isoの内容を一層具体的に示している。
(参考)北海道ではこの葉は足の水疱(すいほう、みずぶくれ)を温包するに用い、また発汗剤としても用いたという(樺太植物誌、p.501)。化膿しようとするパップ(挫創または腫張)にこの生葉を当てて縛っておけばやがて化膿潰破するという(あいぬ医事談、p.57)。乳房炎に、この根をすり潰して患部に塗った(幌別)。樺太でも、はれものやおできに、この葉を貼って膿の吸い出しに用いた(白浦)。

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