植物編 §367 ザゼンソウ Spathyema foetida Raf.forma latissima Makino
(1)sikerpe-kina シケルペ・キナ [→注1] 葉 ⦅北海道各地⦆
注1.――「シけルペ」はキハワダの果実をいう。ザゼンソウにはキハダの実に似たえがらっぽい味があるので「シケルペ・草」と名づけたのだという。
(2)kamuy-kina カムイ・キナ [神・草] 葉 ⦅荻伏⦆
注2.――「神」とはこの場合「山の神」すなわち熊をさす。熊の食う草の義。
(3)citurepkopa チトゥレプコパ [ci(我ら)turep(ウバユリ)kopa(になぞらえる)p(もの)、“ウバユリもどき”] 葉 ⦅名寄⦆
注3.――葉の出がけがオオウバユリのそれにまがうからそう名づけた。
(4)useh-kina ウセヘキナ [oseh(<o-sepひろい)kina(草)] 葉 ⦅真岡⦆
(参考)根を煮て熊の子に食わせた(名寄)。葉をうでて食用に供した他に、干し貯えておき、必要に応じて用いた。また、この草を細かく刻んでざっとうでてその水をしたんでから、樺の木から取った樹液を入れて煮つめて食べた(美幌、屈斜路)。