アイヌと自然デジタル図鑑

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アイヌ語辞典

植物編 §372 オオカサスゲ Carex laevirostris Blytt et Fries

(1)orikon オリコン [<日本語「織ごも」?] 稈 ⦅白浦真岡

(2)horikon ホリコン [<orikon] 稈 ⦅名寄
 注1.――orikonは日本語の「おりこも」(織菰)から来たか。

(3)irira イリラ [i(我らを)ri(皮剥く)ra(葉)] 若葉 ⦅白浦
 注2.――葉が鋭くてうっかりつかむと指を切るのでそういうと。

(4)popke-kina ポプケキナ [popke(暖かい)kina(草)] 稈 ⦅長万部幌別東静内荻伏様似足寄美幌⦆⦅A沙流鵡川千歳・空知⦆
 注3.――これでござを編んで寝具にしたり、靴の中に入れて保温の役に立てたりするのでこの名がある。

(5)kamuy-kina カムイキナ [kamuy(神[=熊?]kina(草)] 稈 ⦅荻伏
 注4.――祭の際、神体を安置するござをこれで作ったのでこういう名がついた。

(6)to-kina トキナ [to(沼)kina(草)] 稈 ⦅A空知
(参考)この稈を干しておいてそれでござを織った(天塩)。茎葉を干し貯えておいて冬に魚皮や獣皮で作った靴の中に入れ、保温の用に供した(足寄)。
 樺太では熊祭りの際、織りから引き出した熊に「イソ・クフ」iso-kuh(熊・帯)と称する美しい飾り帯をしめさせるが、それはもっぱらオオカサスゲの稈で編んだ。幅6cm、長さ4.5m内外の、雄熊なら四角な、雌熊なら平たい帯で、胴を一巻きして背で結ぶ。その帯には「キラウ・コロ・トホタ」kiraw-koro-tohta(つの・もつ・かます)とか、「アカン・コロ・トホタ」akan-koro-tohta(円盤・もつ・かます)とか、様々の形をした小さなかますを60個吊るし、その小さいかますの中に、「イソ、ハル、アナンパレ」“iso haru an-ampare”(熊に弁当を持たせる)と言って、ギョウジャニンニクの茎やクロユリの鱗茎やエゾノエンゴサクの塊茎等を調理して作った「チカリペ」と称する煮込み料理やら生米やら粢(しとぎ)やらを詰める。その「トホタ」tohta(かます)もこのオオカサスゲの稈を編んで作った(白浦)。

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