アイヌと自然デジタル図鑑

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アイヌ語辞典

植物編 §395 オギ Miscanthus sacchariflorus Benth. et Hook.

(1)ki キ 稈 ⦅足寄屈斜路美幌

(2)nupki ヌプキ [nup(野)ki(稈)] 稈 ⦅A沙流

(3)siki シキ [si(真の)ki(稈)] 稈 ⦅穂別美幌名寄⦆⦅A沙流鵡川上川千歳

(4)supneki スプネキ [sup(矢柄)ne(になる)ki(稈)] 稈 ⦅名寄
(参考1)これで「チェプカンルサ」cepkanrusa[cep(サケマス)kar(つくる、処理する)rusa(すだれ)]や「イサッケルサ」isatkerusa[i(物)satke(干す)rusa(すだれ)]を作った(足寄、美幌、名寄)。「アイスプ」ay-sup[矢・柄]も作った(同上)。家を新築した際に「チセサンペトゥカン cise-sampe-tukan(家の・心臓を・射る)と言って屋根裏の隅々を射ることをするが、その時の矢(ki-ay)は必ずこの植物の稈で作る(美幌)。
(参考2)この植物はコタンカルカムイ(kotan-kar-kamuy「国を・造った・神」)の鼻くそだったという伝説がある。
 大昔、アカピラという所(石狩国空知郡赤平町?)で、コタンカルカムイが熊に襲われて負傷した。それを聞いてトゥレシ(turesi「その妻」)が泣きながら夫のもとへ駆けつけた。その途中で唾を吐いたらそれが白鳥になった。だから白鳥は女の声で悲しげに泣きながら空を飛んで行くのである。また手鼻をかんで投げたらその柔らかい鼻汁が葦(アシ supki)になり、硬い鼻汁(鼻くそ)が荻(si-ki)になった。それから夫のもとに着いて介抱し、一緒に天国へ去った。去るに当たって、人間界の物を身につけて天国へ行くわけにはいかないので、今まで身につけていた物を投げすてた。その時「モウル」(mour「肌衣」)を海へ投げたのが「アトゥイコルエカシ」(atuy-kor-ekasi「海を・支配する・翁」)すなわち「エチンケ」(ecinke 亀)になった。「ポンクッ」(pon-kut「肌帯」)を投げたらそれが「アッコルカムイ」(at-kor-kamuy「ひもを・所有する・神」)すなわちタコになった。昔「カッケマッ」(katkemat 貴婦人)は8本のひもで編んだ肌帯を身につけていたのである。最後に、その時落ちた「ホヌマ」(ho-numa「陰毛」)が「ラペンペ」(rapempe)すなわちススキになった。だからススキというものは春になると群がって生えるのである(胆振国勇払郡穂別村)。

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