アイヌと自然デジタル図鑑

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アイヌ語辞典

植物編 §397 アシ ヨシ Phragmites communis Trin.

(1)sarki サルキ [sar(アシ原)ki(稈)] 稈 ⦅美幌屈斜路足寄⦆⦅A十勝川筋⦆

(2)saromah サロマハ [sar(アシ原)oma(にある)p(もの)] 稈 ⦅落帆

(3)supki スプキ [sup(矢柄)ki(稈)] 稈 ⦅長万部⦆⦅A上川有珠千歳沙流

(4)suhki スフキ [<sup-ki] 稈 ⦅真岡白浦
(参考)「スプキ」(矢柄にする稈)という名称のあるとこから考えると、これを矢柄を使うこともあったらしい。先人の調査にも「土人矢笴ニ用フ熊ヲ射ルニ最モ適スト云フ」とある(胆振国勇払郡――C、p.211)。樺太の説話の中でもわざわざこれで「スフキタパ」(suhki-tapa「アシ・鈎」)を作って怪魚を退治することが見えている(富浜)。何かかこれに特殊の呪力を認めて魔よけの呪法などに用いたものらしい。
 各地でこれをすだれに編んだ。また屋根や壁を葺くのに用いた。秋になると婦人たちが鎌と荷縄を持ってこれを刈りに行くのが重要な行事であった。それを刈る時は列をなして歌を歌いながら刈って行ったものであるらしく、その時の労働歌だったかと思われるものが今「ウポポ」(upopo 祭の際の踊り歌)の中に取り入れられて残っている:――
 sarki us nay kotan 葦の生え茂っている沢の仮小屋
 ko-tuyma-rewke そこまでは遥かに路が曲がっている⦅美幌⦆

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